多職種が在籍している病院の人事評価制度についての最適化を目指す(3)


 医療・エステイメージ

前回に引き続き、人事評価制度のお話です。

そもそも医療業界では一般企業のように人事評価制度が浸透し難いという意見もあります。それぞれの職種が専門職として独立して業務を行っている医療業界では、自分の仕事は自分が納得いくようにきちんと遂行しているという職人的な意識を持つ人も多くいます。

その中で急に「人事評価」と言われると、

「誰が、私たちの、何を、評価するんですか? 評価できるんですか?」

という素朴な疑問とこれまでの仕事への評価について、組織に対する反発意識が浮かんできます。これが医療業界で人事評価制度が浸透しがたい一つの大きな理由です。医療従事者は、組織に対する帰属意識が希薄です。人事評価というものが、個人の「人となり」を評価するものではなく、「組織のためにどう貢献したか」を評価するものであるということを事前にしっかり説明しておく必要があります。

先日の記事では、人事評価の際に求められる条件として、①期待像が明確であること②事実を通した評価がなされていること③能力開発に対するフィードバックが行われていること を紹介し、①、②のための活用ツールとしてジョブカードについてお伝えしました。

では、③の能力開発に対するフィードバックはどうでしょうか?
評価に効果を持たせるためには、評価に対する公平性、透明性、納得性が必要です。

職員それぞれが、評価への納得性を持ち、モチベーションと帰属意識を高めていくために、上司はフィードバックスキルを磨いていく必要があります。人は評価されて動きます。無関心の中では人は動かないし、成長もできません。十分なコミュニケーションもなく、適切な関係が築けていない中での人事評価は反発こそあれ、本来の効果を生み出すことはできません。

上司から部下への関心を示すこと、適切なフィードバックと承認で能力を開発していくこと、その中で多面的に評価し、成長機会を提供することが上司や組織の役割です。多面的な評価を行える組織が、多面的に人を育成し、成果をあげることができます。その手段の一つとしての人事評価。ツールの一つとして上手く活用し、組織発展につなげていきたいですね。

2016-12-11 | Posted in 新着情報, 組織と個人とキャリア, 経営サポートブログComments Closed 

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