「教えないから人が育つ」病院人材育成手法(1)


「医事課職員なんですが、レセプトを教えてくれるはずなんですが、いつまで経っても教えてくれません。一般的には入職からどれくらいで教えてくれるものなんでしょうか?」

レセプトやりたいと思っているなら、レセやっている先輩の背中を見て、パソコン見て、そして横に座ってください。普通の組織なら、「やってみる?」と聞いてくれます。そして教えてくれます。聞いてくれない組織は停滞しています。型にはまった仕事(マニュアル)しかやらせてくれません・・・。

新卒採用されると、4月から始まるのが全部署の仕事って何からスタートします。まだ何もわからないのに、部署の内容説明されても、その部署の中から配属されるのは、一つだけですよね。もう何年も後の話なので、すっかり忘れているのが本音でしょう。それよりも、組織内を自由にフラフラさせて、どこでも行ってきていいよ、と、くまなく冒険させてあげれば、勝手に学んでくれると思います。

どんな人材に育って欲しいか、ちゃんと組織内で共有出来てますか。

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一般的な企業はもちろん、医療機関でもマニュアル人間育成が進んでいるのが、とても気になっています。医療安全、衛生・感染管理など徹底しなければならないのは知ってます。マニュアルが無いと、教育基準が無いと、何も進まないという考えが組織の停滞をもたらしているのを実感します。

指示待ち人間の育成土壌完璧です

誰でも自分を「強く見せたい、賢く見せたい」願望は当然ありますよね。でも、それが結構、人材育成には邪魔なものだと感じています。私がやればすぐに終わる。私がやれば失敗しない。という前提で、部下や後輩を見てしまう時点で、もう人は育ちません。なんで出来ないの?なんでそんなに遅いの?は自分目線で、私がやればもっと出来る。私がやればもっと早い。ですよね。そういう前提では、どうせ何を言っても、否定されるし、却下されるから、全部任せておこう、という考えてになっちゃいます。人間って難しいですね。中途半端に提案したら、怒られるからやめておこう・・・ってな具合です。「指示待ち人間一丁上がり」です。

医療機関のマネジメントは難しいですね。

あのドラッガーさんも、医療機関のマネジメントは非常に難しいと書かれていた記憶があります。国家資格をもつ様々なプロフェッショナル、それをマネジメントする役割の事務部門。想像するだけ、あー、面倒な調整がたくさん発生しそうですよね。常勤もいれば、医局から急に行ってきてねー、と言われる医局所属の派遣医師。でも病院の中でみれば、患者さんから見れば、医師免許を持つ一人という計算です。色んな価値観を持つ医療プロフェッショナルの方々を、事務部門のスタッフがコントロールするんです。指示待ち人間では、この調整は難しい。ということになるんです。

「ホウレンソウを徹底するように・・・。」

言わずと知れた「報告連絡相談」。その他にもたくさんあります。停滞組織って、このホウレンソウばっかりが仕事になっていませんか。誰かに上手に聞いてもらえるように。誰かに怒られないように。そのために会議をたくさん開いたり。なんて、新たなアイデアを出したり、本質的な課題解決のための時間を割こうとすると、いつのまにか時間外労働になって、「さー、早く帰れー」の大号令です。私が関連する職場では、ホウレンソウは禁止にしています。ホウレンソウって、一人対一人って感じで、狭い世界なんです。変な意味でいうと、責任転嫁しているのではないか。「上司に報告したから、私の手から離れました。責任無しです」。「先輩に相談したから失敗しても私の責任ではありません」。いかがでしょうか。ホウレンソウ禁止で、「根回しと情報公開」を大事にしてます。

減点主義の組織なんでしょう。

どんな組織を作りたいのか。自由な発想で組織に貢献してくれる人が育って欲しいのか、全て言う通りに動くのみの人材に育って欲しいのか。ちゃんと議論して、組織内で共有してくださいね。何事も成功しても褒めてくれない、そして失敗すると、すっごい怒られるのは、減点主義の組織です。仕事やっていてたぶん楽しくないと感じているはずです。

「教えないから人が育つ」

極端なタイトルですが、通して読めば、それなりに理にかなっています。下記の書籍ですが、ソニーの黄金時代を担っていた方が著者です。この中に非常に気になった箇所がありました。「仕事を任せられないループ」です。

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1.仕事を任せられない なぜ?
2.コントロール願望があるから なぜ?
3.不安になるから なぜ?
4.失敗しそうだから なぜ?
5.スタッフにやる気が無いから なぜ?
6.スタッフが燃えていないから なぜ?
7.スタッフが仕事を任せてもらっていないから・・・

1から7へ深掘りしていくと、最終的に1に戻って永遠とループしますね。結構なるほどと思いました。こんなものは脱却しないといけません。例え失敗しようとも、まずは任せるしかないのです。その職場に合わない人は自然と出て行く事になりますが、合う人はちゃんと残ります。組織のビジョンって、こういう所まで考えこむ必要があるのがよくわかります。

楽しい職場にするために、やる気を出してもらうために、成長してもらうために、まずは仕事を任せることからスタートです。

 

 

2015-12-18 | Posted in 経営サポートブログComments Closed 

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