開催報告/第85回研究会「病院経営における看護人材の現状と課題 -岐路に立つ看護師確保とキャリア支援」


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2月26日、第85回病院経営研究会を行いました。今回のテーマは「病院経営における看護人材の現状と課題 -岐路に立つ看護師確保とキャリア支援-」です。一般社団法人ワーシャル 代表理事であり、働き方プレゼンターでもある中西信雄氏よりお話をしていただきました。

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 看護職の人材不足に拍車がかかる一方で、人財ビジネスは好調化を増しているようです。待遇や給与、職場の人間関係…etc。看護職の離職率の高さや人材不足の原因は、そういった単純なものではありません。その背景には社会構造の在り方や保守的な認識、古参の理解などの様々な社会問題がありました。

少子高齢化で労働者人口が減少していることは周知の事実です。女性の活躍推進が唱えられ、さまざまに法律は整備されています。しかし、それを行使する職場の風土、組織の風土はまったく変わらずにとどまっています。看護という女性だけの独特のヒエラルキーの中で、法制度がない時代に働き続けてきた上司たちから無意識に醸し出される口に出せない空気感…。

女性の有業率が高い国は出生率が高いこと、出産年齢時に労働力率が下がるのは日本と韓国のみであること等、耳にはしていましたが、他国と比較すると、日本社会で女性が働き続けることはまだまだ容易なことではありません。

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それと並行して、看護師の働き場所の多様化も原因としてあげられていました。病院一辺倒だったこれまでの働き方から、訪問看護や高齢者住宅のような地域での仕事、産業保健分野やフリーランスナースなど、看護のフィールドは多様化しています。ただでさえ少ない人材にもかかわらず、病院離れが進んでいく中で、「選ばれる病院」になるためにはどうしたらいいのか、それは、”看護師のライフを応援する病院であること”です。

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ライフを応援してくれる病院・職場であれば、キャリアは継続できていく、ライフのためのキャリアであるということが働く人たちに伝わる職場であることがポイントだとのことでした。働き方の構造から見る看護の人材問題、まだまだ課題はたくさんあります。それぞれの医療機関からはじまる取り組みは小さいかもしれません。しかし、これが広がっていくといずれ大きな社会的変化をもたらしていくでしょう。この課題から、そういった期待もうまれてきます。

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2016-02-29 | Posted in 定例研究会Comments Closed 

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