熊本地震へのDPATの派遣について


b484bafb51aad84ce0e8f579fab22d0a_s

15日におきた熊本の地震。まだまだ余震が続いているようです。
4月半ばとはいえ、朝晩はまだまだ冷え込みが厳しい季節、避難された方々の状況を考えると言葉が浮かびません。

「震災」という言葉を聞くと、私は阪神淡路大震災を思い浮かべます。でも、東北、関東地方の方々にとって、「震災」 とは、東日本大震災 を意味するのでしょう。これから先、熊本の人たちにとっての「震災」は今回の地震を指すことになるんだろうと思います。

言葉から想像することは人や状況によってまったく変わるんですよね。

 

さて、熊本の地震について。

当然ですが、すぐにDMAT(災害派遣医療チーム)が派遣されました。DMATとは大規模災害の発生時に被災地に駆けつけて救急治療を行うための専門的な医療チームのことです。

そして、今回、DPAT(災害派遣精神医療チーム)も同時並行的に派遣されました。DPATは簡単にいうと、DMATの精神保健版です。
東日本大震災のとき、たくさんの自治体から「こころのケアチーム」が派遣されました。でも、事前に組織化されたものではなかったために、思うように機能せず、たくさんの課題が残りました。その教訓を活かすかたちで組織化されたものです。

当面のところ、精神科に入院中の患者さんや精神疾患を抱える人への対応が先になるようです。
災害直後の混乱が落ち着いた段階で、被災者方々の心のケアへ移行していくことになります。この対応がとても重要になります。状況が一旦落ち着いた頃から、いろんなことに過剰に恐怖を感じるようになったり、逆に恐怖を感じないために鈍感になったりする方もでてきます。PTSDのようにずっとあとになってフラッシュバックしてくることも多々あります。

阪神大震災の後、神戸ではアルコール依存症の方が急増しました。東日本大震災の後も同じです。
東日本大震災と同時期にクライストチャーチで起きた地震では、ドメスティックバイオレンスが激増しました。

欧米人はストレスを外に向けて放ちます。しかし、日本人はストレスを内に内に向けていくことが多いです。人を傷つけることは少ないけれど、どんどん自分を追い込んで傷つけてしまいます。

今はまだ混乱の最中ですが、被災されたみなさんのこころのケアは必ず必要になります。

DPATが有効に機能していきますように。そして、被災された方々に1日も早く穏やかな日が戻りますように。心よりお祈り申し上げます。

2016-04-17 | Posted in 組織と個人とキャリアComments Closed 

関連記事