病院で最適な人事評価制度の導入をサポートします


 

人事評価制度導入のご提案 ~インセンティブ・スキームのご紹介~

[はじめに]

近年、病院をめぐる環境がめまぐるしく変化する中、病院も選ばれる時代となり、 第三者評価機関による病院評価や、患者様自身による選別のように、非常に厳しい環境となっております。そのような状況下において、“選ばれる病院”となる為には、医療の質は当然として、患者様の満足度・快適度や安心感を高める努力をする必要があると考えられます。また医業経営の周辺環境は、医療費の伸びを抑制しようとする国の医療制度改革によって大きく変化し、医療機関をはじめ、医療業界では常にそのさじ加減で一喜一憂しています。医業経営は度重なる制度改革の中においても、常に収入と支出のバランスを見定めながらよりベターな舵取りを行う必要があり、その中でも医業費用の中で50%以上を占める人件費のコントロールは非常に重要であり、昨今の自治体病院の置かれた立場もさることながら、民間病院においては最も腐心する部分であります。一方で医療が労働集約型産業であることから、人事評価制度の導入を検討されても、組合問題や、成果主義に対する疑問の声や職員の抵抗等、諸問題を抱えながら改革への一歩を踏み出せずにいる医療機関も多いことと考えます。そこで病院を構成する職員のモチベーションを最大限引き出すことを可能にする仕組み「インセンティブ・スキーム」をご紹介します。

[医療期間を取り巻く環境]

医業経営の周辺環境は、度重なる医療制度改革により2年に一度のサイクルでめまぐるしく変化していきます。医療制度改革は増え続ける国民医療費の伸びを抑制することを目的としており、制度改革や社会情勢に対応できない医療機関は、競争原理の渦に飲み込まれ、収益が減少してしまい、収支バランスが悪化し、新築移転することもままならず、統合や買収、廃業を余儀なくされてしまうような時代になってしまいました。

医療機関の取り巻く環境

[人事評価制度について]

1.年功序列型給与体系から成果主義型給与体系へ

医療制度改革により、医療費の伸びが抑制されていく中、医業費用の50%以上を人件費が占める医業経営において、年功序列型の給与体系を見直すことなく続けていくということは、必然的に収益が悪化していくことにつながりかねません。そこで様々な業界において成果主義の給与体系を導入するケースが見受けられるようになり、総務面において先進的な医療機関ではその流れに追随しています。

 

2.医療機関における成果主義型給与体系の問題点-①

医療機関では医師や看護師、コメディカルがチームを構成し、医療専門職による職種間連携によって医療価値を創造しています。従って、いずれかの職種が欠けても、自己都合によって業務を後回しにしたりすると医療価値の創造ができません。このことから医療機関においての職種間連携は極めて重要であることが分かります。ところが、業績や能力を評価の対象とする業績主義の場合、被評価者のモチベーションは、個人の業績や職能の向上に集中してしまうため、モラルハザードが起こりやすく、同僚間、職種間連携がうまくいかなくなる可能性があります。

 

成果主義において業績や職能に力点を置く評価指標を設定することは、医療サービスの質や患者に対してネガティブな影響を及ぼす危険性があります。

3.成果主義型給与体系の問題点-②

成果主義では目標設定とその達成度評価は不可欠です。しかし多くの組織において達成度評価がうまくいっているとは限りません。

 

4.個別評価から組織評価へ

病院のような職場では個人ではなく組織(医療チーム)として働くことがほとんどであり、組織価値が高まらなければ病院の価値が高まることはないと思われます。

組織が価値を発揮するには組織に属する個人が見識や知恵によって結びつき、社会観や倫理観のような公益性を踏まえた組織風土を創り上げる必要があります。このためには自然人として普通に振舞うことができ、職業人として当たり前のことができていなければなりません。その上で職能を築き上げ、発揮していくことが望まれるのです。そういった組織風土の中で組織価値との関係で個人を評価する仕組みの構築が必要となるのです。

従って、職員が組織人として成長し、自己実現を達成したいというモチベーションに対して刺激を与えるためには、成果主義では個別評価になりがちな体系を、「よい仕組みが、よい製品を生み出す」という、組織評価の考え方が求められるのです。

 

5.組織評価に必要な3つの要件

組織評価はこれら3つの要件を含意したものでなければなりません。「インセンティブ・スキーム」はそういった思想を背景に設計されています。

 

[インセンティブ・スキームについて]

1.インセンティブ・スキームの設計概要

インセンティブ・スキームとは、病院職員のモチベーションを引き出すことを可能にする報酬関数です。

「構成員の働く意欲を引き出す報酬関数の基礎となる人事評価手法の開発」
職員各自がもつ能力を発揮した時に達成可能な最大限の目標を立てることを前提とし、
その目標を達成した時に最大の報酬が得られる様に構築されています。

「業績主義をいかに超えるか」
成果主義は個人の業績や能力を基準としたものが多く、必ずしも組織価値と適合しているとはいえません。従って評価項目については業績の評価は全くしません。

「”グレシャムの法則”を克服する」
志気の低い職員が一定の割合を超えると志気の高い職員も働く意欲を失ってしまうような、病院組織版の「悪貨は良貨を駆逐する(※)」が作用しないようにするために、この悪貨を排する仕組みを制度設計に組み込んでいます。

 

2.従来の報酬関数との違い

従来の報酬関数では、実績が1単位上がれば、その人の歩合も1単位上がるというように、実績と歩合の関係は比例していました。また、成果主義ではある一定期間において目標設定が必要となりますが、実績との関係をみると、目標を超えた実績が達成された場合、超過達成分に対し報酬関数の傾きが上がり、未達成であれば報酬関数の傾きが下がるようになっていました。従来の成果主義の目標設定の手法では、上司との面談による本人の自己申告が主流であり、実績と歩合の関係が比例している限り、モラルハザードを起こす危険性があり、職員の力を最大限発揮するための目標設定は難しい状態でした。

インセンティブ・スキームでは本人の実現可能な最大の目標を引き出すように報酬関数を設定しています。超過達成分については0.5、未達成分については1.5の傾きが設定されます。これは、超過達成の場合は、超過達成分の歩合については実入りが減ることになり、目標未達成の場合は超過達成分の歩合以上の実入りが減ることになります。つまり、評価対象者は低すぎる目標設定でも損をし、高すぎる目標設定でも損をするため、今の自分が達成可能でありながら、しかし最大限の目標設定を行うことになるのです。

3.評価項目や評価法について

評価項目は全体で25項目から構成されています。自然人項目は普通の人としてどうかを評価する項目であり、職業人項目は働く人としてどうかを評価するための項目、職能人項目は専門職としてどのような働きをしているかを評価する項目が設定されます。

評価尺度は1(ワースト)~6(ベスト)の6段階になっています。ばらつきが確保できなければ評価尺度となり得ません。また、成果主義の陥穽である評価インフレを防ぐことも可能です。ばらつきの確保は極めて重要なのです。

インセンティブ・スキームでは評価者を5人と設定しました。評価者については談合を防ぐために自分の評価者は誰であるか分からないようにし、且つ評価者相互間でも分からないようにします。評価者には直属の上司、所属部門長や同僚の他、関連する部門の人たちを配置します。

評価した簿点に対して事前に重みをつけておくという手法は使わず、昇べき順に並べて真中の評点に自動的に重みがおかれるようにします。
上司や同僚で恣意性や偏見が入ってしまう恐れがある場合、評価者の重みが自動的に決定されていると弊害がおきやすくなります。そのため簿点の最大値や最小値に対する重みが自動的に低くなるよう設定します。

 

4.改めてここで基本的な考え方

・インセンティブ・スキームの成立のためには、このルールと意味が全員に理解されていることが非常に重要ですが、それさえあれば、評価を行うためのマニュアルも、外部教育も必要ないのが大きな特徴です。

・定率減額は、病院毎の医業収支率によって病院の経営状況から直接人件費や間接人件費を回収している費用の範囲から、それに見合った率:置換率(※)を使用して本来この期間に支払われる給与と賞与(引当分)に乗算した金額を全員から一律減額します。

・置換率は対象期間に支払われる各人の給与から定率で減額するための割合であり、前年度の病院の経営状況によって決定されます。経営状況が悪ければ悪いほど、あるいは人件費率が高ければ高いほど、定率減額を増やし、歩合給の幅を大きくしようとするものです。つまり赤字経営の場合はできるだけ早く赤字を収束させようという働きを持ちながら、人件費の割合を妥当なものにしようという働きも持っているのです。

・評点が低い人は定率減額を回復できないだけでなく、場合によってはさらに持ち出しになるということもありうるのです。その割合は20人に1名程度になるよう設計されています。評点が赤点だった人は定額以上に減額され、評点が高かった人はその分まで受け取ることになります。働きの悪い人がいれば、その分をその他の人の働きで補完しなければいけないからです。

 

5.第一主成分・係数グラフ – 研究対象病院での実施例をもとに –

多くの評価では、各評価項目の重みが同一だったり、特定の評価項目の重みを恣意的に事前設定しています。しかし、評価項目の重みを全て対等にしたり、特定の評価変数の重みを恣意的に設定すると、被評価者の得手不得手等に左右され、必ずしも平等な評価を行うことはできず、問題があるといえます。従ってインセンティブ・スキームでは、評価者が被評価者を項目毎に評価し、その結果に対し、主成分分析を行うことで各評価項目の重みを自動決定します。この表では「25 職務遂行能力」や「12 信頼獲得」などの評価項目が、最も重みのある評価項目であるといえます。

6.評価項目と係数比較(自然人・職業人・職能人)

この表は、評価項目毎に自然人・職業人・職能人の第一主成分の係数を表記したものです。自然人の平方平均は0.197で、職業人は0.202、職能人は0.199となっています。これらの結果から、主成分の総合評価では「25 職務遂行能力」という項目が最も重要な項目と思われたのですが、自然人・職業人・職能人の分類で見ると、自然人・職業人の評価項目は職能人の評価項目と同程度となっています。従って、専門職として働く上で必要な能力同様、人として当り前のことや働く人として必要なことが重要だという結果が得られたのです。

7.素点と評点、各人の歩合と歩合給

ここは難しいので問い合わせください。組織に理念によってカスタマイズが必要な箇所です。

8.導入スケジュール

・評価制度の説明会
・試行 (テストバッテリー)
・シェアリング (ワークショップ)
・バーチャルペイメント の手順で進めれば万事問題ありません。

9.インセンティブ・スキーム導入後の影響 - 研究対象病院での実施例をもとに –

インセンティブ・スキーム導入後、現場でどのような影響があったかを尋ねたところ、素点や評価よりも他者評価の簿点を100点満点に換算した値を重視しており、他者評価が60点や70点の人でも100点を目指す傾向がありました。このことから、素点や評価の意味が浸透していないという課題も発生しました。いかに現場にこの仕組みを浸透させていくかが、事務局としての課題となるでしょう。

また、独立性を担保するために評価者が分からないようにしていたため、他者評価が悪い時、「誰に聞いたらよいのか」という問題が発生します。これについては、評価を算定する「個別評価シート」を用い、企画情報的な部署が説明・指導を行いました。このように評価結果の見方を指導する機会や、評価者に対する評価法の研修機会を設ける必要もあります。

この評価を通じて組織のあり方を戦略的に議論する良い素材を得たという感想を得ました。インセンティブ・スキームを単なる人事評価で終わらせることなく、病院人事や医療組織のあり方を検討する資料として位置付けていくことが重要であるという意見もありました。

 このインセンティブ・スキームでの評価を通じて、これからの病院経営では、事務職のみならず、看護師やコメディカルスタッフからでも豊かな構想力や経営感覚の優れた人を経営層に抜擢し、医業経営を実現していく必要があるでしょう。病院アドミニストレータ-ともいうべき素養を持った人物を見出し、育成していく仕組みを構築し、機能させていくことが期待されます。

10.導入・運用ステップ

細かい話になりますので、詳細については担当者より返信させて頂きますので、下記フォームからお問い合わせください。また、上記をPDFファイルにまとめた資料を、「医療福祉介護関連の組織に属している方」には無償で提供しておりますそれ以外の方でご希望の方もお問い合わせください。当会にて検討後にお知らせいたします。下記のフォムより「人事評価PDF資料請求」とお知らせ頂ければ、確認後にメールで送付させて頂きます。

人事評価システムの問い合わせ