多職種が在籍している病院の人事評価制度についての最適化を目指す(1)


人事制度は一定期間すぎれば見直しが必要

近年、一般企業と同じように人事評価制度を導入する医療機関が増えてきました。みなさんの病院ではどのような評価制度を導入されているのでしょうか。目標管理制度は導入されていますか。人事評価の項目は適切ですか。

質の高い人材を確保するためには、最も重要な要素が人事評価と言っても過言ではありません。過去に決めた内容だからといって、10年前の制度を使っている場合は、人材が確保出来ない大きな理由かもしれません。今一度見直してみる価値はあります。

さまざまな専門職から成り立つ医療機関では評価の基準も一般のものと同様にすることができません。同じ部署に、一生懸命努力して仕事をする人と、そうでない人がいた場合、適切な評価制度がなければ努力している人は報われません。多くの人にとって、評価制度は煩わしい側面もありますが、うまく機能すればモチベーションの向上につながります。

仕事の専門性が高く、さまざまな職種から成り立つ医療機関では評価の基準も一般のものと同様にすることは難しく、評価軸を定めにくいと考えられています。しかし、人材が育つ仕組みづくりは、実際には一般企業と同じで、医療が特殊というわけではありません。

 

病院経営研究会に人事評価関係でよくある相談内容

  1. 職種別に評価項目を変えるべきか、全員共通であるべきか
  2. 評価項目が適切かどうか分からないのでチェックして欲しい
  3. 上長評価してしていないが、部署によって評価基準が曖昧なような気がする
  4. 評価者のトレーニングをしていないが、どのように実施すべきか
  5. 評価した結果は、本人にフィードバックすべきか、しないほうが良いのか

多くの組織で挙げられる人事評価の課題として、組織の基準、「スタンダード」を評価者である管理職が理解していない、標準レベルがどういう人材か明確でない、という項目があります。また、小さな病院では、事務職用に作られた一般的な人事評価項目で、専門職である医療従事者も評価しているケースがあります。事務職用と言えども、情意評価と言われるものです。

さて、ここで情意評価とはどういうものか。人事評価を行う際は、適切な評価項目を設定し、項目に則った評価をする必要があります。重要な評価項目として挙げられる項目は、成果や業績に関する「業績評価」、知識や能力に関する「能力評価」、そして行動や態度に関する「情意評価」です。

大きな分野で、上記の3要素の評価がありますが、ここで疑問が発生します。専門職である医療従事者も情意のみで判断していいのか、診療報酬の点数のことを考えると、点数に直結することに貢献するスタッフの評価が高くなって良いのでは、という考え方も出てきます。

人材育成を念頭においた人事評価では絶対評価で評価することが望ましいと言われています。この際、求められる条件として、①期待像が明確であること②事実を通した評価がなされていること③能力開発に対するフィードバックが行われていること、があげられます。

様々な悩みがありますが、厚生労働省が有用なツールを提供しています。ジョブ・カード制度ですね。①、②についての悩みを解決できる底力を持っている側面があります。

厚生労働省:ジョブ・カード

ジョブカードの活用法はいくつかありますが、使い方の一つに生涯を通じた職業能力の向上を図る「キャリア形成」、職業人の「キャリアアップのツール」があげられます。政府は並行してキャリアコンサルタントの活用も推進していますが、各職場では上司が部下に対し、ジョブカードを活用した評価面談を行うことで、職業人としての意識や現状の課題を明確化することができ、自律的な行動修正やモチベーションの向上といった効果が期待されます。職業人=医療専門職として捉えれば、十分に活用できるものと考えます。

看護・コメディカル用のジョブ・カードを作成しました

現在、成長分野における各職種のジョブカードの作成が進んでいますが、看護やコメディカルに関しての医療分野における標準評価項目の作成はまだなされていません。そこで、病院経営研究会では、看護・コメディカルにおけるジョブカードをモデルにした人事評価フォームを作成してみました。(※厚労省に認められたものではありませんのでご注意ください)もし人事評価でお悩みの病院があれば、一度試しに使ってみてはいかがでしょうか。組織発展のツールの一つとして参考にしてみてください。

看護・コメディカル用、ジョブ・カードは下記からダウンロードください。

・PDFファイル:ジョブカード(コメディカル).pdf
・エクセルファイル:ジョブカード(コメディカル).xls

具体的に人事制度の改定などお考えの場合は、個別サポートも実施しております。既に関東方面、関西方面などで複数の病院で実運用されている組織もあります。無料ではサポートできませんが、出来るだけ現場の方が取り組みやすいように心がけています。

 

2016-12-11 | Posted in 新着情報, 組織と個人とキャリア, 経営サポートブログComments Closed 

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