デイサービスから見る新しい福祉のかたち


2016-06-14 09.38.34

一時期、あちこちに増えていたデイサービス。介護報酬の改正以降、新設されるデイサービスが少し減ってきたように思います。
最近、デイサービスの中に新たな動きが見えてきました。

デイサービスは高齢者の日中活動の場です。
入浴や食事、リハビリや余暇などを提供し、機能の向上や家族の介護負担をサポートする役割があります。
10年ほど前に、リハビリ特化型デイサービスというものが始まりました。
折り紙や歌などではなく、リハビリ = 機能訓練をして、低下した身体の機能を取り戻すことに意識が向き始め、今ではそれが主流になっています。

あまり知られていませんが、子どもの福祉の中にもデイサービスがあります。
放課後等デイサービスというものです。これは障害のある子どもたちが放課後や長期休暇のときに通う施設です。
障害を持つ子どもたちの学童保育のようなイメージです。


高齢者の福祉が進む一方で、子どもの福祉はなかなか進んでいきません。
障害を持つ子どもたちがリハビリできる施設が足りない、子どものリハビリができるセラピストが少ない、十分な時間を確保できる制度形態になっていない、など、たくさんの課題があります。

しかし、最近、高齢者のデイサービスと子どもの放課後等デイサービスを共用しようとする施設がでてきました。
高齢者のデイサービスは15時~16時ころに終了します。
高齢者が帰宅したあと、学校を終えた子どもたちがやってきて、同じリハビリ機器を使用し、デイサービスでの活動を行います。


※写真提供:加古川市ドレミデイサービスセンター

医療や福祉の業界では、高齢者と子どもはまったく違うものとして捉えられます。
けれど、この2つのサービスを共用することでたくさんのメリットが見えてきました。

まず、何よりも子どもたちにとって、専門的なリハビリを受ける機会が増えるということです。
あまり見られない高価で専門的なリハビリ機器を共用することで、お互いの機能回復、機能向上の可能性が広がります。

そして、高齢者と子どもたちが触れ合えるというメリットもあります。
少しの時間であっても、世代の違う人たちと接することでお互いにとって良い刺激になります。

さらには、リハビリや相談支援の専門職にとって、大きな成長の機会になるということです。
一つの分野だけではなく、新しい分野の知識や技術を習得することで、専門職としての幅が広がり、より良いサービスを提供できるようになります。

一つのサービスを充実させるためには、まずはそれに特化して集中することが必要です。
そのサービスが成熟したあと、それを共有することで、新しいかたちのサービスが広がっていきます。
場所や機器だけでなく、知識やノウハウも、みんなで共用することで、身体も心も上向きになって、助けられる人たちが増えていきます。
制度的な枠組みが厳しく、まだまだ課題はありますが、制度を超えてフレキシブルに共用できるサービス、少しずつ広がっています。

2016-06-27 | Posted in 新着情報Comments Closed 

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