研修セミナー


病院経営研究会が考える研修セミナーの基本的な考え方とは

 赤字に苦しむ病院経営をどう立て直すか、その健全な在り方とはどういうったものなのか。それを追求し様々なアプローチを考えるのが病院経営研究会です。医療にかかわるさまざまな職種のメンバーと議論し、解決の道を探ろうとするのが大きな特徴で、研究会を京都・大阪・滋賀・兵庫でも開催しメーリングリストの人数は約800名。単に「市場原理」では語れない病院経営の難しさに真正面から向き合うために運営しています。

 2005年4月、有志で立ち上げた研究会は現在、医師、看護師、薬剤師、病院事務職員、行政担当者、研究者、医療にかかわる業者らが参加しています。「職種の枠を超えて、さまざまなメンバーが病院経営を考える点に意義がある」と、病院経営研究会は考えます。

 「医師は医師だけ、事務職は事務職だけと、自分のテクニックに従事するだけではチーム医療は成り立たない」。医療現場のコミュニケーション不足の解消も研究会の目標です。主に京都で開く会合は80回近くを数えます。(2015年10月末)

 日本の医療には課題が山積みです。相次ぐ廃院、廃科、規模の縮小。特に診療報酬の面で効率の悪い小児科、訴訟リスクの高い産科、ハードな救急部門は存続が難しいのが現状です。企業ならば不採算の商品は生産を中止するが、医療の場合、地域のことを考えると簡単にはやめられない。医師、看護師など医療従事者をどう確保するかも課題となっています。

 「あくまで『医は公益』を念頭に置いた上で、医療原価(医療行為にかかったコスト)を基にした経営が求められている」と我々は考えています。収入である診療報酬に対し、一人の患者に何がいくらかかったか、追跡できない現状がある。だが、医療原価の分析は簡単ではない。様々な中規模以上の病院で取り組んでいますが、まだまだ中小病院では概算で病院運営をしているのが現実です。理事長や院長、数少ない経営陣が、なんとなくこの程度の数字かなという感覚で経営しているのです。病院経営研究会では、これらの事を考えられるスタッフ育成のための、ワーキンググループをつくり、とことん考えていく予定です。

 一方、自治体病院の経営悪化も問題になっている。赤字を補てんするのは税金という考え方。「事務を担当するのは行政職員。何年かで本庁に帰るので、改革のためのリスクを冒そうとしない」というのが一般的な理解でしょう。しかしその現実は、独立行政法人化が進んだ今でも、いつまで経っても変わりません。

 病院経営研究会の主たる目的は、「メンバーが学んだ経営感覚をそれぞれの現場に持ち帰り、生かしてもらう−そんな研究会になれば」と考えています。病院の事務職員を経営の立場から養成するのが発足時の理念ですが、「企業の経営理念を医療に導入していいものか」「医療には地域特性があり、ベストの病院経営はないのでは」といったメンバーの視点も重要とも思います。

 試行錯誤しながらも、継続は力として前を見据えて取り組みます。学会や公益法人に発展させ、研修を受けた人を「病院アドミニストレーター(管理者)」などに認定する構想も進めながら、今後は特に若い医療従事者を育て、日本の医療を守る活動を進めていきたいと考えています。

 

研修セミナーのカテゴライズ

病院経営研究会では下記のような3つの枠組みで研修を捉えています。ロバート・カッツのマネジメントモデルが分かりやすいため、この枠組みを利用しています。1.テクニカルスキル、2.ヒューマンスキル、3.コンセプチュアルスキル。これらにも研修を受けたほうが良い階層があります。この2軸で研修を考えると非常に分かりやすいです。看護業界におけるラダー制度も運用に際には、このような考え方で構築している病院が多いです。

ノンテクニカルは、テクニカルと反する考え方のため、上記の枠組みでは、コンセプチュアル・ヒューマンの2種類にあたります。医療事故の調査を言及した研修がありますが、医療事故の発生要因の約54%がノンテクニカルスキルからの問題ともされています。病院など医療機関では、技術面の研修などに注目することが多いですが、ノンテクニカルスキルも重要という理解が必要です。コーチング研修、アサーション研修、対人トレーニングなどが注目されているのも、よくわかります。

 

病院経営研究会が提供する研修の領域は、下記の考え方をもとに各種企画しています。

①階層は全てを対象にして、各種階層ごとに開催します。

②その中で、コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキルは、職種は限定しません。どの職種でも研修実施します。

③テクニカルスキルの中で、現在提供できるのは、看護職・コメディカル・事務職の3職種に限定しています。

 

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