開催報告/第88回研究会「愛仁会グループの医療と経営の分離による病院運営」


12月13日(火)第88回病院経営研究会を開催しました。

今回のキーワードは「インテグレーションとコーディネーション」。

地域包括ケアシステムの先導的役割を担っている愛仁会グループより、介護福祉事業部長として現場を先導されている坪茂典氏をお招きし、「愛仁会グループが考える医療・介護・福祉連携と地域包括ケア」をメインテーマとして講演をいただきました。

愛仁会グループは志の高い数名の医師が集まって設立されました。通常の医療法人とは異なった創立形式をとり、「地域社会のために集団の叡智を」という組織文化のもと、現在は社会医療法人として患者と地域を第一に考えた事業展開をされています。

病院完結型医療から地域完結型の社会へ移行を目指す社会保障制度改革の大きな流れに合わせて、診療報酬改定の動きも早期治療・早期退院、在宅復帰促進、在宅復帰連携と進んできています。

愛仁会グループでは、急性期から慢性期医療、在宅サービス、入所サービス等、在宅生活を支えるために必要なサービスをさまざまに展開されています。
特にリハビリと機能強化型訪問看護は地域包括ケアの核を担う部分として力を入れておられ、
地域包括ケアのキーになるものとして「24時間定期巡回」「小規模多機能型居宅介護」「看護小規模多機能型居宅介護」をあげられました。
多職種から成り立つ事業所の連携をスムーズにするため、定期的な「医療と介護連携ケース検討会」を実施。
介入の過程と結果を振り返り、計画を評価していくことによって、スタッフのスキルアップとサービスの質の向上に取り組まれているとのことでした。
このようなかたちで、法人内部で提供・展開できる垂直統合(インテグレーション)の充実・実現を図られています。

また、LSA(ライフサポートアドバイザー)などの地域のインフォーマルサービスや自法人以外の地域の社会資源との連携も重要視されています。介護保険以外の事業、インフォーマルサービスとの連携でサービスに多様性を持たせることで、地域ごとの社会資源を活用する水平的な連携(コーディネーション)を実現されています。

垂直統合(インテグレーション)と水平的な連携(コーディネーション)の組み合わせが地域包括ケアのあるべき姿であり、サービス事業者はそれを念頭にサービスの密度や効果的な組み合わせを検討する必要があることをご説明されました。
さらには事業所そのものも地域コミュニティの一員である視点をもつことが不可欠であることも合わせて提言いただき、具体的な事業展開の第一歩として、数多くのヒントを提供いただけた貴重な時間となりました。

終了後は忘年会を兼ねた懇親会。1年の労いとこれからの展望も含め、話に花が咲きました。研究会本体の時間では質疑応答の時間があまりとれないため、懇親会で議論を深めるのが常な常態になっています。講演して頂いた坪さんにはお手数ですが、多くのテーブルを回っていただき議論に花を咲かせて頂きました。

次回の研究会は、2017年2月2日(木)、診療報酬改定に関してのお題です。「平成30年診療報酬改定。待ったなし!急性期医療制度改革の方向性」。申込はこちらから。それでは良い年越しをお迎えください。

 

2016-12-17 | Posted in 定例研究会, 新着情報Comments Closed 

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