病院経営研究会見学事業/~「京都大学学生総合支援センター障害学生支援ルーム~


病院経営研究会見学事業、今回は京都大学学生総合支援センター障害学生支援ルームへ行ってきました。



京都大学学生総合支援センター障害学生支援ルームは、障害があるなどの理由により、修学上様々な悩みや相談ごとをかかえる学生さんの支援を行う施設です。

一口に「障害」と言っても、その内訳は様々です

一般的に「障害」の種別として、身体障害、知的障害、精神障害、の3障害があげられます。
それに加えて、最近注目されているのが発達障害を持つ人たちの存在です。

発達障害は、知的に問題はないけれど、他者とのコミュニケーションに支障がある、抽象的な概念がわからない、極端な注意力や衝動性、特定のものへの興味や関心の過集中など、特徴的な発達のバランスの悪さから修学・生活上のさまざまな困難を生ずる障害です。

日本学生支援機構の調査によると、平成27年時点で、大学における障害のある学生の占める割合は0.68%。
発達障害のある学生は急増し、病弱・虚弱の6,462人、精神障害の5,889人に次ぐ3番目の多さで3,442人。
それでも発達障害の学生は約1,000人に一人(0.1%程度)在籍しているとのことです。

今、多くの大学の課題として挙げられているのは、発達障害を持つ学生の就労支援です。

特に学力レベルの高い大学では、研究やデータ分析などある特定の分野に際立った才能を発揮するけれど、
いわゆる「社会人」としての一般的な作業を行うことが難しく、就職ができない学生。

一つの作業に没頭し、基礎研究は飛びぬけて評価が良いけれど、分析・研究したものを文脈としてとらえることができず、結果として研究職に就くことも難しい…など、
能力を活かしきれず社会に出ていくことができない学生が増えています。

発達障害に限らず、障害を持つ学生が問題視されるのは、日本の文化的背景が大きく影響しています。

人と足並みをそろえること、他者と共調することを重んじる日本の教育では、発達障害を持つ人たちの特性は特異なもの、和を乱すもの、として排除される傾向にあります。

発達障害の内訳をみても、日本では他社とのコミュニケーションに支障があるASD(アスペルガー症候群)の割合が多いですが、欧米ではLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)の割合が多く、ASDの学生の割合は一番低いです。

これには、「他者と違う」ことが日常生活に支障をきたすことにつながらないから、という理由があげられます。

さらに、欧米では高等教育機関に在籍する障害のある学生は10%を超えているという統計があります。
小学校就学前の初期段階から障害に気づき、適切な療育と支援が受けられる環境がすでに整備されているのです。

「普通」という概念はどこでつくられるのか?

偏差値の高い大学に通う発達障害を持つ学生は、現在の日本の教育システムの評価軸の中では「優秀」とされてきた人たちです。
しかし、それが残念ながら社会生活の中では評価されていないという現実があります。
このズレはどこからくるのでしょうか?
何でも起用にこなすジェネラリストが求められ、スペシャリストの評価は低く現状があります。
ダイバーシティという言葉が盛んに使われるようになりました。
けれども、「多様性」のことばの裏に「普通」を求めていないでしょうか?


人と違う、そんな特性を能力として生かせる社会

そんな社会の実現のために、多様性を認められる社会の一員であるために、
大学の障害学生支援が担うべき役割はこれからもっともっと大きくなってくるのでしょう。

たくさんの質問に丁寧に答えてくださった京都大学学生総合支援センター障害学生支援ルームの村田先生、本当にありがとうございました。

 

 

2017-02-14 | Posted in 新着情報, 組織と個人とキャリアComments Closed 

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