病院経営研究会研修事業『看護主任、師長、副部長のための管理者研修~アドラー・ドラッカー・コヴィーから学ぶ』
2月16日、病院経営研究会研修事業として、日本看護サービス代表取締役餅田敬司先生を講師に、初級看護管理者向けの研修を行いました。
『看護主任、師長、副部長のための管理者研修~アドラー・ドラッカー・コヴィーから学ぶ』 というテーマの3回シリーズの研修。2回目の今回は、コヴィーの教えを基に「人材育成のコツ」を大きな軸として講義を進めていきました。
人心掌握術の決め手は?
仕事中に雑談をする…とんでもないことのように思われるけれど、雑談には科学的な根拠があります。
その場の人と話し、巡回をすることによっていろんなことがわかり、透明性と緊張感を生み出す。
見られていること、そばにいることを示すと人はやる気を見せていく…これを「ホーソン効果」と言います。
記録や報告に残らない情報を知っている師長がいる、それはなぜか?カルテの情報に合わせてスタッフとの会話の中で患者さんの状態を把握しているのです。
スタッフとの関係性も同じです。雑談から生まれる関係性があります。
あなたは、スタッフのフルネーム、年齢はわかりますか?スタッフの家族のことは?
患者さんのことを思うのと同じようにスタッフのことにも関心を寄せていくこと、そうすることによってつながりが少し生まれていくのです。これが人心掌握の最初の一歩になります。
コンピテンシーとパーソナリティー
自分のことを知らないと相手のことをみることはできません。
SOC(首尾一貫感覚)、アンガーマネジメント、エニアグラム、人のタイプを捉えるためのさまざまなツールを使い、自己理解を促し、他者理解のヒントを獲得していきました。
簡単な心理テストにも思えるこのツール、
これは「コンピテンシー」(成果を生む望ましい行動特性)につながります。
コンピテンシー(行動特性)の違いから仕事のやり方やよろこびは異なってきます。
やりがいや目的を何におくか、その人特有の見方や考え方、価値観があります。それが各々違うように、パーソナリティーもそれぞれ違います。
コンピテンシーとパーソナリティー、それぞれに把握し、一人一人の違い認め、相手を尊敬し信頼に基づく人間関係を築いていく必要があります。
はじまりは自己受容
自分のことが好きですか?自分の役割を理解していますか?
すべての人は役割を持っています。役に立つ感覚を持っていれば人は自己受容ができていきます。
自己受容は他者信頼につながります。
他者への信頼が生まれると、他者へ貢献していこうという意識が生まれます。
相手と二人の間でこの関係を築くことができると、部署へ組織へ、社会へと良いサイクルが廻っていきます。
この良いサイクルのはじまりは自己受容。
管理者は部下に自己受容を生み出すアプローチをしていく必要があるのです。
プロフェッションフッド
Profession(専門性)+ food(性質や状態)とは、専門職メンバーの一人一人の特質に着目し、自らの職種に鏡として映し出される自分自身のイメージのことです。
自分の仕事に誇りを持っているか?人の役に立つ仕事だと感じているか?ということです。
あなたはこの患者さんの役に立っている、あなたの仕事はこの部署の力になっている、あなたの存在がこの組織に貢献している、ということをメンバーに伝えてください。
管理職がメンバーにどれほどのことを伝えていくかで部下の自己効力感が培われています。
役割や貢献度を伝えていくと自己効力感が湧いてきます。
その自己効力感は自己受容を促します。その自己受容は自信につながり、自発的な行動を導きます。
自己効力を高めるために
自己受容と効力感を高めるために、部下の価値を伝えましょう。
できていることを伝え、できそうと思えることから一歩ずつステップを上げていきましょう。
目の前のスタッフに何を伝えてあげるか、それは必ず相手の中にあります。
相手のことをよく見て、信頼し、理解し、見つけたことばを伝えてあげましょう。
人材育成はマーケティングです。
それぞれの個に対し、その人が何を求めているかを基に育成をしていくことが大切です。
人材を育成していくためには、管理職自身がまず自己受容し、他者信頼し、他者貢献を実践していく、それを基にマネジメントを行っていくこと。
はじまりは管理職自身の自己受容なのです。
今回は京都の北部から淡路島の南まで、関西のあらゆる病院から、約40名の方々にご参加いただきました。
次回は3月16日(木)13:30~16:30 「How toからの脱却」というテーマで行います。