産業精神保健学会1


2016-06-18 08.50.03

6月17日、18日と産業精神保健学会がありました。

産業精神保健学会というのは、「職場におけるメンタルヘルスに関係した多職種のスタッフやメンタルヘルスの専門家・研究者が協力して働く人たちのメンタルヘルスの保持・増進を図ることを目的として設立されたもの」です。

長くてわかりにくいですが…要するに、職場におけるメンタルヘルスの保持・増進を目的とした集まりです。参加職種は、病院に所属する、もしくは企業に属する医師、保健師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、労働局関係スタッフ、弁護士、社労士…などなどです。

 

第23回目となる今回のメインテーマは「大転換期への対応」です。たしかに、この数年で職場におけるメンタルヘルスシステムはかなり整ってきました。それをうけて、昨年度から大きな転換期を迎えています。
2015年、ストレスチェック制度が義務化されました。そして、臨床心理士の国家資格、公認心理士法案もようやく可決されました。「メンタル」に関する意識が高まっているのは事実です。しかし、メンタルヘルス不調者の数は増加の一途をたどっています。

2000年に比べて、2014年では、メンタルヘルス関係で休職した労働者は全体で6.4倍、うつ病圏では8倍にも増加していました。増加したのはうつだけではありません。適応障害はなんと28倍、不眠症は24倍、と、驚くほどの増加率を示しています。これは、医療機関にかかりやすくなったという良い側面も考えられますが、一方で過剰診断の問題も指摘されています。

休職から離職→失業に至る人も増加しています。メンタル不調の状態で失業に至った場合、再就職が難しいこともデータとして挙がってきています。

メンタルヘルス対策について、行政や大企業の体制は整ってきました。しかし、中小企業のメンタルヘルス対策はまだまだ不十分です。

今回、さまざまな症例の発表が行われました。病院側から見たメンタル不調者=患者さん、企業側から見たメンタル不調者=従業員、についてのことはたくさん発表がありました。
けれども、病院内スタッフ=ある意味身内、についての現状や復職状況についてはまったく触れられていませんでした。

大都市・中都市では、コメディカルの離職率の高さが問題視されています。メンタル不調を感じる前に 退職→転職 が可能な状態なのです。しかし、地方に行くとそういうわけにはいきません。転職するスキルはあっても、転職する先がないのです。

実際、今年に入ってから、休職している病院スタッフのカウンセリング、メンタルヘルス研修の仕事の依頼が増えています。そういう背景もあり、今回の学会での視点のあり方に少し驚きもありました。

医療関係者のメンタル不調、あまり取り上げられていませんが、実際はとても増加しています。企業のメンタルヘルス対策と同様に、それを守る医療スタッフ、メンタルヘルス関連職種の対応も、考えていかなければならない課題ですね。

2016-06-19 | Posted in 新着情報, 組織と個人とキャリアComments Closed 

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