開催報告/第87回研究会「医薬分業の効果検証と今後の薬剤師の役割とは」
7月22日(金)、第87回病院経営研究会を行いました。
今回のキーワードは「医薬分業」。医薬分業の進展が薬剤費抑制に効果があったことを示す初のエビデンスを発表された横井正行氏を招いて講演いただきました。
薬局の数が57000店舗を超える現在、医薬分業の割合は約70%と言われています。
しかし未だ医薬分業への反対意見は根強く、その効果を疑問視する声も多々みられています。
医薬分業とは薬の処方と調剤を分離するということです。
歴史の流れから見ると、それは医師への特権集中、乱用を防ぐ意味を持つもの、つまり処方の監査を行う意を濃く持つことです。
しかし、現在では、そのそもそもの成り立ちからは大きく外れ、医療費抑制、薬剤費削減の効果をより強く問われるようになってきました。
門前薬局のほうが院内処方よりも高額になるではないか、薬剤師はただ医師の手伝いをしているだけの人ではないか、等々…
信用性の高いエビデンスがないまま、新薬局開設の数に比例して、批判的な風評も広がってきていました。
講演では「医薬分業が進んでいる地域ほど院外処方における1日あたりの全薬剤費は減少する」ということを、さまざまなデータをもとにわかりやすく解説いただきました。
統計学の知識が無い方にとっては、少し難しい内容かもしれませんが、重回帰分析で薬剤師の貢献による薬剤費削減効果を計算されていました。次回はもっと深掘りして、議論したい内容でした。
地域包括ケアを実現させていくために、これから薬剤師が担うことができる役割は大きくなっていきます。
薬剤師が在宅に介入し、利用者の服薬状況を正確に把握することで多重投与を予防し、副作用の発見率を向上させます。
地域医療の拡充、充実のために「かかりつけ薬剤師」へ高まる期待感、
今回の講演を聞いて、それがますます大きくなりました。
もちろん終了後には、メインの会では話せない内容を懇親会にて。お酒も進み、皆さんよい顔をされていました。