One in four of us ~精神障害者支援の視点から


2016-10-21-16-27-48

 

先日、加古川市を中心に行われている東播臨海東播磨精神保健協会にお声がけいただいて、
精神保健支援者研修会に参加してきました。
 

「精神障害者の特性と個別性に適応した生活支援」というテーマで、
日本福祉大学福祉経営学部教授であり、もともと関西青少年サナトリウムでPSW(精神科ソーシャルワーカー)として
長年勤務されていた青木聖久先生の実体験を元にした講演とグループワークが行われました。

 

One in four of us …私達の4人に1人は…。

イギリスでは、One in four of us、つまり4人に1人は人生のうち1度は精神疾患を経験する と言われています。
日本では、5人に1人と言われていますが、このように、精神疾患、精神障害は「特別」で「希少」な病気ではなく、
誰でもかかりうる身近な疾患なのです。

人は自らの経験、もしくは自分の周りの人の経験を通して人や状況を理解します。
高齢者福祉がこれだけ進んでいる理由は、おそらくほとんどすべての人が、高齢者に関わった経験則を持っているからです。
精神障害が理解されづらい背景はここにあります。

 

「精神障害」は目に見えません。
「精神障害」を持っている人が身近にいたり、何かの形で接する経験がないと、その病気がどういうものなのかがまったくわかりません。
自分に経験則がない場合、人は先入観で判断します。
テレビやネットニュースの報道などの情報から「怖い人」「危ない人」という理解に結び付き、偏見が生まれます。

 

一口に「精神障害」と言っても、その疾患によって、支援の仕方はまったく異なります。
統合失調症の方の支援と、うつの方の支援、発達障害の2次障害としての精神疾患の支援、引きこもりの方の支援… 
それぞれに困りごとも関わり方も変わってきます。

疾病の知識はもちろん、障害の特性をきちんと理解し、かつ個別性を尊重した関わりが必要です。

 


しかし、全員に共通していることが一つあります。

 

それは、「人間である」ということです。

 

個別性や特性に配慮すること以上に、人としての一般性 を大切にすることを忘れてはいけません。
誰だって褒められたらうれしいし、悪口を言われたら悲しくなったり腹が立ったりします。
そういった、人としての 「当たり前の喜怒哀楽」 を、当たり前に大切にする支援が求められます。

 

「住み慣れた地域での生活」という考え方は精神科領域でも同じように進められており、精神科医療機関からの退院支援も促進されています。
参加した地域の支援事業所からは「病院に入ると支援が途切れる」という本音の意見も出ていました。
地域の居場所を作ること、その居場所で自己有用感を高めていくこと、これをどうやって実現していくか、
具体的な取り組みは徐々に進められています。

今回は安定期の支援に焦点があてられていましたが、
医療機関にも支援機関にもつながっていない長期引きこもりの方の存在や、
警察が介入したり、なにか事態が起きてから緊急的に支援が開始されるケースも後を立ちません。

安定期の生活支援はもちろんですが、潜伏期、緊急時の対応、それ以前からの啓発活動など、精神保健領域の支援は課題が山積みです。

 

One in four of us… 

決して特別な病気ではなく、身近にある一つの疾患として、理解の輪を広げていくために、まずは声の届く地域から始めていきましょう。

2016-10-22 | Posted in 地域包括ケア, 新着情報Comments Closed 

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