高齢社会の当事者として思うこと
先日、明石市にあるシニアカレッジ、いわゆる高齢者大学からお声掛けいただき、教養講座の講師を担当させていただきました。
シニアカレッジは大学でいうゼミのようなかたちで、少人数のグループでそれぞれに研究活動を行っているとのことです。各グループでの交流はあるものの、グループをまたいだ交流ができていない…というのが課題だそうで、今季のテーマに「コミュニケーション」をあげている とのこと。
総勢108名、平均年齢75歳、とても元気な人生の大先輩の前に立ち、大規模講座をさせていただきました。
今回は「初めの一歩」ということで、みなさんにとって初めてのことをたくさんやっていただきました。心理療法で用いるワークを使って、自分のコミュニケーションのクセや人との関わり方の傾向を見たり、関わり方の基本を知って、実体験してもらったり、と、動きながら、話しながら、コミュニケーションの感覚を感じていただきました。
最初は知らない人同士で、みなさん表情も険しかったんですが、徐々に会話が弾み、笑顔が生まれ、最後は話がとまらなくなるほど盛り上がっていただきました。
「楽しかった」「こんなの初めてだった」「今までなんでこんなにコミュニケーションに悩んでたんだろう」という感想をいただきました。
高齢社会といわれ、それを社会問題とされている今日、当事者であるみなさんは、そのことをとても冷静に見つめられていました。
政府も自治体も、良かれと思うことをいろいろしてくれる、それはわかっている、けれど、当事者として言わせてもらうと、「もうそろそろ好きにさせてくれ!」というのが本音なんだ…と。
戦時下だった子ども時代、身を粉にして働いた高度成長期、少しずつ厄介者扱いされ始めた平成の世、リタイアして、やっと楽しめるんだから、好きなことを好きなようにやらせてほしいんだ、と。
好きなことを好きなように楽しむために、高齢者自身が築いて運営する、自分たちのコミュニティが必要だと考えている とのことでした。
「コミュニティからはずれること」「社会からはずれること」、そのことについての恐怖感をリアルに感じている、だからこそ、自分たちの居場所を持つために、シニアとして様々な活動を行っている とのことでした。
「役割があるということ、居場所があるということ、これがシニアにとって生きる意欲になるんですよ」と、言われていました。
シニアカレッジは、彼らの居場所であり、有効なコミュニティです。
高齢者自身が築くコミュニティ、これからますます必要になってくるでしょう。
そこに関わるお手伝い、そんなこともやっています。必要でしたらぜひお声掛けください。