医療職のメンタルヘルス事情
ストレスチェック制度導入から1年が過ぎ、メンタルヘルス対策に乗り出す企業が増えています。
接客業や営業職、システムエンジニアなどなど、ストレス度の高い業種がさまざまにとりあげられています。
みなさんは医療・福祉職のメンタル不調者の割合をご存知でしょうか?
厚生労働省による「各業種別メンタルヘルスに問題を抱えている社員の割合」調査では、医療福祉職が76.6%と第一位、次いで情報通信業界が73.0%で第二位、第三位に製造業が上げられています。
医療業界のメンタルヘルス対策は、実は一般企業と比較してかなり遅れています。
その理由は何でしょうか?
医療・福祉をはじめとする対人支援の仕事は「感情労働」とも言われ、ストレス度の高い仕事です。
まず一つには人命にかかる仕事など、仕事内容による緊張感が上げられます。
二つ目には多職種間の壁、人間関係の構築の難しさ。
さらには業務量過多等の労働環境に関することなども考えられます。
しかし、理由はそれだけではありません。
看護をはじめとする医療職独特のパワーバランス、風土としての無意識のパワーハラスメントなどが強く関わっています。
また、多くのコメディカルは専門関連分野として心理学を学んでいます。
心理学の知識は自身のストレスマネジメントにも役に立つはずですが、この知識が知識が心の蓋となって自分の気持ちを素直に表出できなくなったり、中途半端な知識で勝手な「診断」をしてしまい、専門家によるケアに結びつかない傾向もあります。
さらに、医療業界でのメンタルヘルス対策が進まない理由として、高い離職率、転職の容易さが上げられます。
しんどい職場で疲弊した状態を継続するより、転職をして環境を変えれば心も軽くなるかもしれない、という思いで安易に転職を繰り返す傾向も目立っています。
病気を治し、人を癒やし、たくさんの人々を救う立場にある医療従事者は、自らの心身も健康であってほしいものです。
そのために、本来ならば他の業種より、いっそうメンタルヘルスに留意する必要があるはずです。
ぎりぎりの人員配置をしている医療現場では、ひとりでも休職者が出ては診療に大きく影響してしまう。医療従事者のメンタルヘルスを守るために は何が必要か、病院を上げて考えていく必要があります。