地域包括ケアを実現させるためのケアラー支援(2)


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各国のケアラー支援

「介護者」という概念は、世界のどこの国にもありました。

「介護者」を「ケアラー」として、その人たちの支援が必要だと、特に力を入れているのはイギリスとオーストラリアです。

イギリスでは、1995年に「ケアラー法」という法律が制定されました。今から20年も前のことです。そして、2015年に改正が行われました。

オーストラリアでは1997年に取り組みがはじまり、2010年に「ケアラー貢献認識法」という法律が制定されました。

どちらも、国としてケアラーの問題を認識しているのです。

障害・高齢に関わる課題として、「在宅ケア」「施設ケア」と並列で、「ケアラー(介護者への)ケア」を掲げています。

2014年のデータによると、イギリスの高齢化率は17・8%、オーストラリアの高齢化率は14・6%、日本は、25.8%です。

各国の障害者率を見ると、イギリスは約18%、オーストラリアは約12%、日本は約6% と言われています。

その倍以上の割合で、ケアラーは存在しています。

 

国としての取り組みの必要性

今後の方向性として、公助の割合を減らし、自助・共助の割合を高めていく、とされています。国や地方自治体の負担を減らし、個人と家族、そこが属するコミュニティの責任を増やしていく、ということです。自助・共助を強調していくのであれば、その中で必ずキーとなる「ケアラー」の支援を考えていく必要があります。

まずはケアラーの存在認識、そして、彼ら自身の人生に目を向けることから始めましょう。

 


●この記事を書いた人
丸谷香(まるたにかおり):ソーシャルワーカー/精神保健福祉士
独立型ソーシャルワーカーとして病院や施設で対人関係課題に取り組んでいます。

2016-02-16 | Posted in 組織と個人とキャリアComments Closed 

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