地域包括ケアを実現させるためのケアラー支援(4)
ケアラートピック、第4回目です。
ケアラーへの社会的支援には何が必要なのか?
ケアラーへの社会的支援には、次の4つが必要だと言われています。
まず1つ目は、ケアされる人、ケアする人の両当事者が共に尊重される ということです。
2つ目は、無理なくケアを続けられる環境の整備 です。
3つ目は、ケアする人の社会参加を保障して、勉強や仕事、社会生活、地域での活動などを続けられるようにすること。つまり、ケアラー個人に対する個別支援です。
そして4つ目は、ケアする人の経験と、周りの人からケアする人への理解と配慮が共に生かされる社会( 地域) をつくる ということです。
そのための具体的な課題は何なのか?
上の4つは、「そりゃ、そうだ」 というような、ごく当たり前のことですよね。では、それを実現するための具体的な課題は何なのか?ということです。
まず1つは、まだあまり認識されていないケアラーの存在、そしてそのニーズを知らせる ということです。介護離職0 が唱えられて、働くケアラーの存在が認識され始めましたし、行政や企業の関心も高まってきています。しかし、在宅ケアラーやヤングケアラーはまだまだ知られていません。
2つ目は、ケアラーになるかもしれない、なるだろう、という人たちに対して、ケアや支援に対する知識や情報を提供することです。
3つ目に、ケアラーの早期発見・早期支援の開発です。ケアが必要な人から離れられず、家の中にこもってしまう場合が多くあります。ケアラーを社会的に孤立させないために、関わる専門支援者は注意深く家族関係を見る必要があります。
そして、4 つ目が地域で意識的にケアラー支援を推進する仕組みづくりです。
地域包括ケアシステムの中に重要な視点の一つとして取り入れていくべきことになります。
そもそも地域包括ケアとは…
現状の地域包括ケアシステムは高齢者を対象に展開しています。
「住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けるために」という、繰り返される文言は、とてもきれいで共感をよびます。
自分らしい暮らしを続けたい と望むのは、高齢者に限りません。どんな人でも同じように自分らしい暮らしを実現するために、ケアラー支援の必要性も、知ることから始めましょう。
●この記事を書いた人
丸谷香(まるたにかおり):ソーシャルワーカー/精神保健福祉士
独立型ソーシャルワーカーとして病院や施設で対人関係課題に取り組んでいます。