障害者差別解消法が施行されました
今日から4月、新年度のスタートですね。さて、今日、この日、「障害者差別解消法」 という法律が施行されました。
障害者差別解消法とは、名前のとおり、障害を理由とする差別の解消を推進しましょう ということです。
今日は、この法律が制定された背景を少しみていきたいと思います。
この背景には国連が出した「障害者の権利条約」 があります。障害者権利条約は、障害のある人の権利を守るという約束です。
この基本的な考え方が素晴らしいんです。
「Nothing about us without us 」
「私たち(障害者)に関係することを決めるときは、必ず私たち(障害者)の意見を聴いて決めること」
という考え方が基本にあるんです。
「障害者の権利条約」 を実現するために改正されたのが、「障害者基本法」です。障害者基本法は障害のある人に関係する一番大切な法律です。障害のある人の法律や制度についての基本的な考え方 を示しています。
「障害者基本法」は、障害があってもなくても、一人ひとりを大切にする社会をつくること、そのために、自立や社会参加を支援する法律や制度をよりよいものにしていくことを目的にしています。
「障害者基本法」 には3つの基本原則があります。
1つは、「地域社会における共生等」、みんなと一緒に街で暮らすこと、です。
そのために、以下の3点を目指しています。
・障害のある人みんなが、社会のすべての場面に参加できるようにすること
・障害のある人みんなが、どこで誰と暮らすのか自分で選ぶことができて、地域でみんなと一緒に暮らせるようにすること
・障害のある人みんなが、手話などのことばや必要なコミュニケーション(気持ちを伝えること)の方法(点字、指点字、触手話、要約筆記、筆談、わかりやすいことば)を選ぶことができるようにすること。また、情報を手に入れたり、使ったりする方法を選べるようにすること
です。
2つ目の原則は 「差別の禁止」、差別をなくすことです。
3つ目の原則は 「国際的協調」、1人1人を大切にする社会をつくるために、世界の人と協力する ということです。
今回制定された「障害者差別解消法」は、障害者基本法の2つ目の原則、「差別の禁止」 を具体的にしたものです。政府や行政、民間事業者による障害者への差別禁止 の他、車いすの方への手助けや、筆談など、障がいに応じた対応、段差の解消や点字案内などの社会障壁の除去などの「合理的配慮」も義務付けられています。
ところで、みなさんは、「福祉」 という ことばで、何を連想されますか?
世間の関心は高齢者福祉に寄せられています。なぜ、高齢者福祉なのか?単純に高齢化率…人数の問題だけではありません。
それは、「老い」 という、誰もが必ず通る道、自分の身に降りかかる未来だからです。
では、「障害」 は どうでしょう?
誰もが必ず通る道…ではありません。当事者になってみたり、家族に障害を持つ人がいることで、身に迫る現実になるものです。一般的には想像の範疇にない出来事なのです。
だから、高齢者に比べて世間の関心は低いのです。
障がいがあってもなくても、共に生活していける社会、それは、理想のようで、当たり前の社会です。
障害者差別解消法 なんていう法律を必要としない社会が、理想的な社会なのでしょう。
けれど、今のこの社会に、確かに必要とされてできた法律です。
この法律が有効に働くように、そして、誰もが済みやすい社会が実現できるように、この春からスタートです。