人をケアするということ3


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父を施設にお願いして良かったと思った2つ目のの理由です。

娘の私が言うのもなんですが、父は母のことをとても愛していました。母もそうだったんだろうと思います。
けれども、介護というのはきれいごとではすまされない現実がたくさんあります。

父が施設に入居する前、父は今までの父とは変わってました。今考えれば、父もしんどかったんだと思いますが、家族はそれを受け入れることができませんでした。なぜそうなったのか、頭ではわかっているんですが、感情が追いつかないのです。
家族が父を責め、父はますます意固地になり、母に負担がかかる…という絵に描いたような悪循環に陥りました。

 

父が施設でお世話になって、私が一番良かったと思うこと。

 

それは、母が父のことを大好きなまま、最期までいられた ということです。それがすべてで、実のところ、それ以外はありません。

在宅介護は程度の差はあれ、大きな疲労と負担が家族に覆いかぶさります。

そんなふうに思いたくないのに、負担に思ってしまう、
本人のせいじゃないと分かっているけど、つい怒ってしまう、
そういう自分を顧みて、またストレスを感じてしまう。
その結果、大事にできなくなってくる…。

介護はきれいごとで語ることはできません。

私の父はとても優しい人でした。
その優しさが、若いころの私には、ただ弱いだけのように映っていて、受け入れられない時期も長くありました。
少し世間を理解し始めた今になって、彼の優しさが強さだったということがようやく感じられるようになりました。
多くを語ることはありませんでしたが、たまに言う一言はいつも私の心に深く染み入りました。
何かを強いることは一度もありませんでしたが、「自分らしく生きなさい」とだけは強く言われました。

父が、1人の人間として最期まできちんといられたこと、1人の立派な人として逝かせていただくことができたこと、
当たり前に思えるこのことが、今の社会では本当に難しいことなんです。
自分の父親がそのようにできたこと、母が父を大好きなままで最期を迎えられたこと、それは施設の皆様のおかげだと思っています。

もしかしたら、父がいた施設は、今の社会では「必要悪」とされるところかもしれません。
それでも、私は、父があの施設にお世話になれて、本当に良かった、父は幸せだったと思っています。

これから、高齢者ビジネスはますます加速していきます。
父を通じて、私が見たこと、感じたこと、経験したこと。福祉・医療に携わるものとして、今後にしっかり活かしていきたいと感じています。

2016-05-15 | Posted in 組織と個人とキャリアComments Closed 

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