病床管理会議で数字を使わずに議論するのはナンセンスです
病院ではベッドの稼働率が重要なのは言うまでもありません。
顧問先の病院で、病床管理会議に出席して運営が適切かどうかチェックしていました。メンバーは理事長から、医局長、事務長、看護部長・・・、いわゆる課長以上の人物はだいたい出席です。例えば、入院患者一人あたり30,000円/日なら、300ベッドで、1日で900万円ですね。おー、大きい。
はい、稼働率が下がると困りますね。
病院の経費の人件費は固定費なので、支出は変わりません。一般目線で考えれば、病院はやっぱりちゃんとしてないと嫌ですよね。いいかげんな病院には行きたくないです。ということで、制度上で患者何人あたりに医師が何人必要。看護師も。薬剤師も。ぜんぶ決まってます。だから人件費減らすことはなかなか難しいです。
医療というとなんか難しい感じがしますが、ベッドのある病院は、ホテル経営と大して変わりません。診療報酬という保険制度の中で動きますので、上限が定められていたり、色々な難しい制度がありますけどね。病院で働いている方であれば、庶務をやっている方でも絶対勉強してください。
そう、色々、難しいことを抜きにしてしまえば、稼働率、回転率なんです。そこに手術、検査、外来、救急などです。でも、やっぱり入院してなんぼの病院が多いです。
そこで、大事なのが病床(ベッド)を管理する病床管理会議です。この会議体が無い病院も多いです。カリスマ型の医師が全て決めている病院。療養病床、介護病床もあまり敏感にならなくてもいいですね。
私なりに、効率的な病床管理会議の要点を下記にまとめてみました。
- 日次で実施する。最低限でも週次で実施する。
- 構成メンバーは、医長、医事部長、看護部長、看護師長、ソーシャルワーカー、在宅連携責任者。
- 政策的な課題は持ち込まず、数値をメインに情報共有を行う。
- 数値は、各責任者よりリアルタイムな最新情報を、各々発表してもらう。
- 共有する数値は、当月平均入院患者数、前月平均入院患者数、新入院患者数、退院患者数、入院ルート内訳、紹介患者施設別内訳、退院ルート内訳、3ヶ月平均在院日数、当月平均在院日数、最低限は5~10種類。
- 皆さんは各々プロフェッショナルですから、細かい指示は一切なしで。
- しっかりと情報共有を正確に行えば、プロは自然と持ち帰り宿題で取り組みます。
はい、これでよく分かりましたね。大切なのは6番、7番です。正確に情報共有を行うことです。過去の原因を追求するのは、後々の月次振り返りのタイミングでいいです。未来のこと、明日のことを考えるために、包み隠さず情報共有してください。なぜ病床管理をする必要があるのか。何のためにするのか。なんで忙しいことをわざわざ取り組まないといけないのか。ぜひ病院の理念につなげて考えられるように仕込んでください。
皆さん、プロフェッショナルです。余計なことはいわずに倫理的な部分で共有するだけで充分です。それで動いてくれない人は、もうこの先も一緒に楽しく働けません。えいやー、ですね。怖がる必要性はありません。
難しい分析や手法論を説明する専門家も多いですが、これでOKです。いまどうなってるの?、あれどうなったの?、それを正しく情報共有すれば、病床管理会議の運営は95点はとれますよ。ぜひ試してください。